みなさんこんにちは 吉村画竜点睛会の講師、吉村です。
今回はオンライン塾やオンライン予備校で大学受験を準備するときのメリット・デメリットについてお話ししたいと思います。
2020のコロナショックの影響も大きく、塾や予備校でもオンライン形式の授業を展開する学校が一挙に増えました。(まあ、私たちもそのひとつなのですけれど・・・笑)
学校にも、タブレットが支給されたりして、プログラミング教育は小学校で2020年、中学校で2021年、高校で2022年から必修になりましたね。
今までよりも幼い年代から、電子機器やネット文化に触れる機会がグッと増えてきた印象を受けます。
子供達の対応力は凄まじいもので・・・うちの3歳の息子も、親がスマホを何回かいじっているのを見てすぐ操作をマスターしてしまいました。気付いたら自分で撮った記憶のない写真画像が100枚近く保存されていたりしました笑。
油断も隙も無いもんです。
オンラインを用いた個人指導や家庭教師は、コロナショックの前からありました(私もオンライン家庭教師の会社で指導をした経験があります)が、ここにきてにわかにスポットライトが当たりましたね。
さあそんな流れで、オンライン授業というニュータイプも少しずつ受け入れられてきているようですが、お子さんのいらっしゃるご家庭の保護者の方はどんな印象を持たれていますでしょうか?
塾や予備校と言えば、教室に通い、机の上の紙と鉛筆(シャープペンシル)とテキストという殺風景なイメージを記憶していらっしゃる保護者の方がほとんどでは無いでしょうか?
「オンラインってどうやるの?」「手続きが複雑じゃない?」「学力は上がるのかな?」「自宅の子供部屋で授業受けるなんて集中力続くかな?」
みなさん、ご自身の経験が無い分不安や気になることが多いと思われます。
ここでは、オンライン塾やオンライン予備校で提供されるネットアプリ(ほとんどはZoomというアプリ)を活用したオンライン授業のメリットとデメリットについて解説したいと思います。
オンライン授業のメリット
1. 通塾時間がかからない
インターネットに接続できるデバイス・機器があれば、時間も場所も問わずに授業を受けられます。オンライン授業の最大の利点はここでしょう。家の近くに手頃な塾や予備校が無ければ、通塾のために幾らかの時間がかかります。もし車を出すとなれば、生徒だけでなく保護者の方の時間やガソリン代などもかかってきます。
ちなみに・・・
私が高校受験の時は・・・家から塾に自転車で通っていました。
週4日塾に自転車で通う場合(片道10分)、往復20分で1週間では80分(1時間20分)、1ヶ月で320分(5時間20分)、1年(4月から年明けまでの10ヶ月と考えて)なら3200分(53時間20分)を移動時間に取られてしまっていました。
私が大学受験の時は・・・予備校の寮から校舎に通っていました。
週6日校舎に寮から自転車で通う場合(片道20分 意外と離れてましたね)、往復40分で1週間では240分(4時間)、1ヶ月で960分(16時間)、1年(4月から年明けまでの10ヶ月と考えて)なら9600分(160時間)を移動時間に取られてしまっていました。
計算するとすごい時間ですよね。
家が近いか遠いかで、学習に利用できる時間は簡単に差がついてしまいます。
オンライン授業では、これらのハンデを無しにできるという大きなメリットがあります。
「いやでも、行き帰りの時間が浮いたからって、勉強するかといえば別の話じゃない?」と思われる方もいるかもしれません。
もし、これまで塾や予備校に通われた経験のある方は思い出してみてください。
授業が終わって、自転車や電車に乗ったりして家に帰る。この移動の間に、勉強の集中力がキープできましたか?教えてもらって「なるほど!!」と思ったことでも、移動時間を挟むと脳内がリセットされてしまっていませんでしたか?
人間の集中力は長時間続きません。ましてや授業が終わって家に帰ってからもう一度集中力のギアを上げるのは結構大変です。
大事なのは、授業の後、今日教えてもらったことを頭の中でまとめる15分。ここがとても重要です。
オンライン授業だと、終わった時すでに家の自分の机に座っているので、教わった内容をしっかり頭の中で整理した上で脳のスイッチを切ることが可能です。
2. 有名講師の授業をリアルタイムで受けられる
これまでは、人気のある先生のいる塾・予備校・校舎に実際に入塾して、その先生の講座のある教室まで行かなければ授業を受けることは難しかったです。
ですが、オンラインであれば日本全国の有名講師の授業を最前列で受けることができます。
特に講師と生徒は相性が重要です。どんなに名の通った先生でも、教え方が合わない生徒がいるのは事実です。
もちろん、実力のある講師ほどそういうことが少ないわけですが、
最近では、youtubeなどで様々な予備校の看板講師陣が授業風景を配信していたりしますし、体験授業なども充実してきているので、それらを見ながら判断できる時代になってきました。
3. 自分の部屋が教室になる
自宅の自分の部屋での勉強ほど、集中するのに向いていない空間は無いでしょう。自分の好きなものが沢山詰まっていますからね。
人間の集中力は長くても90分ほどだそうです。ですがそれは最大限のポテンシャルを発揮した時です。
自分の自室で、毎日そのポテンシャルをキープできるでしょうか?
受験勉強は短距離走ではなく、長距離走です。1日2日調子が良くても、その後の300日が不調では苦戦を強いられるでしょう。コンスタントに継続する力が問われます。
自室でオンライン授業に接続すれば、他のものに気が散りそうな環境でも、授業中は高い集中力を維持することが可能です。
加えて、同じ問題にダラダラと無駄な時間を費やしてしまうことも少なくなるでしょう。効率の良い学習を続けるために、新しいシステムを導入することは、とても効果的な方法だと思います。
4. スマホ1台さえあればどこでも受けられる
通信環境が整っていれば、スマホ1台でどこにいても授業を受けることができます。スマートフォンの所有率は年々増加傾向にあり、中学生では47.4%、高校生では82.8%となっております(内閣府調査)。
私自身、正直こんなに高いとは思いませんでした(驚)。私が携帯電話を手にしたのは高校を卒業して浪人している時です。実家と連絡を取るために契約した、パカパカ開け閉めするSONYのガラケーでした。
個人的な感覚として、ついこの前スマホに切り替えたな〜と記憶していたのですが、時代は早いですね。新しいものはどんどん広がっていきます。
今や、中学生の2人に1人、高校生の5人に4人はスマホ所有者なんですね。保護者の方の世代になれば90%近い方がスマホを所有しているようです。
スマホが普及していることで、オンライン授業はさらにハードルが低くなっています。気軽に参加できる環境が整ってきております。
5. 事前準備はアプリのダウンロードくらいで、意外とすぐできる
パソコンやオンラインなど、いろいろ複雑そうでめんどくさいな〜と感じている方も多いのではないでしょうか。その気持ちわかります。インターネット上で何かやること自体が既に高いハードルになっていらっしゃる方も多いでしょう。ですが、実際の手続きはそこまで難しくはありませんし、専門的な知識もそこまで必要ではないです。
①Google playやApp Storeで「ZOOM Cloud Meetings」を探してインストールする。
②ZOOMアプリを開いて立ち上げる。
③既にアカウントを所有している方は「サインイン」、まだの方は「サインアップ」を押す。(「サインアップ」からメールアドレスと名前を入力すれば、認証用のメールがすぐに届きます。そのメールを開き、「アカウントを有効化する」というボタンをクリックすればサインアップ完了です。
再度、アプリからサインインの際に登録したアカウントでログインすれば完了です。)
これで設定は完了です。皆さんがゲストとしてZOOM Meetingに参加する場合は、ホストとなる方から送られてくる招待メールのリンクから直接Meetingに参加するか、そのMeetingのIDとパスワードを打ち込んで参加するか、どちらでも参加できます。
また、ご自身が主導でMeetingを立ち上げることも可能です。
ダウンロードしてメールアドレスと名前を記入すればすぐに始められるアプリなので、スマホを使っていらっしゃる方ならすぐに慣れて使いこなせることでしょう。
オンライン授業のデメリット
1. 手元が見えにくい
これは講師側からの視点です。講義をしているといろんな生徒に出会います。自分が話した内容をしっかり受け止めて、教えた通りに解法や考え方を活用してくれる生徒だと、安心して授業を進められると感じる講師は多いのではないでしょうか。授業中、高校生・高卒生達の頭の中に、どのくらい学習の内容が入っているのかを確認するひとつの大きな目印がノートです。つまり、黒板の板書をどのように書いているのか、どのようにまとめているのか、これを見て判断します。
これは、勘違いしないでください。板書の内容を一字一句書き写している生徒の成績が高いとか、成績が伸びるということではありません。これに当てはまらない高校生・高卒生を少なくない人数見てきた経験からすると、板書の写し方はそれほど問題ではありません。
肝心なのは、生徒が「この授業の核心・重要点はここだなと認識している」と思って書いていることが、本当に的を得ているのか?ということです。
こんな論文があります。ある大学の学生にアンケートを取ったところ、「講義で大事なところは色を変えて板書して欲しい」という問に対する回答が、「よく当てはまる」52.7%、「まあ当てはまる」30.5%と、合わせて83.2%にも達していたとのことです。
つまり、自分が聞いている講義の内容を理解できていないもしくは多少の不安がある生徒が8割以上もいるということです。
もちろん、生徒ごとにその深刻さは変化するので一概には言えないという点や、大学の講義と受験勉強は違うという点はその通りです。
ただ、一様に講義を聞いてもどこまで理解が進んでいるのかがその後の学習に大きく影響するのは皆さんもよく理解されることだと思います。
教室に集まって直接授業を受ける場合は、生徒達の手元が見えるので、ノートの状況を見て多少なりとも理解の深さを把握できるのですが、オンライン授業では生徒の手元を映して参加することがほぼ無いので、それが難しいです。
一方的な講義を受けるだけなら、映像コンテンツを視聴すれば良いわけです。
講師のメッセージがしっかり相手に伝わっているのか、一方通行になっていないのか、”ノック”ではなく”キャッチボール”になっているのかが重要です。
オンライン授業のシステムは、どうしても”ノック”になりがちです。
2. 授業時間以外での質問対応が難しい
実際に塾や予備校の校舎に登校して授業を受ける場合、その時間の前後で講師に自由に質問できる時間があります(これは各塾や予備校の状況によってだったり、講師の性格や講義スタンスによっても変わってきますが・・・)。
この時間がとても重要です。
私自身、予備校に通っていた頃、他の生徒と先を争って質問に行っていました。講師として仕事をするようになってからも、質問をしっかりする高校生・高卒生は成績が伸びやすいなと本当に感じます。
生徒の質問にしっかり対応できる体制、こういった表からは見えにくいフォローシステムが、着実に生徒の成績を伸ばしていくのです。
ここで大切なことがあります。『疑問は”鮮度”が大事』ということです。疑問に思った時にすぐ解決できるかどうかが勝負の分かれ道です。
如何に”鮮度”が大事なのか?ポイントをまとめました。
- すぐに疑問点が解消できると、理解が深まる。
- わからなかったところがわかってスッキリする上にモチベーションも上がる。
- わからないで悩んだり考えたりするといった無駄な時間を使わない。
- 後で聞けばいいやと思っているうちにどこが疑問だったのか忘れてしまう。
- 忘れてしまって質問できないことで、知らず知らずのうちに理解の穴が増えてしまう。
などなど、いろいろな弊害が出てきてしまいます。これだけ見ても、「気軽にすぐ質問できる」環境が、効率的な学習に必要不可欠であることがよくわかります。
オンライン授業では、授業前後で講師に会うことが難しいです。回線を繋いでいなければ話すこともできませんよね。授業が終わってネットの接続が切れてしまうと、疑問点が出てきても、そこからまた講師に連絡して、オンラインで繋いで〜といった作業をするのは大変面倒です・・・
オンライン授業では、授業時間外での気軽な質問対応がなかなか難しいです。
3. 言葉や表情のニュアンスが伝わりにくい
これに関しては、個人差があるかもしれません。私個人だけのことなのかもしれませんが、ここに挙げさせてもらいました。
教室という同じ空間にいて、お互いの声と表情を見ながら(というか読みながら)話すのと、オンライン上で会話するのとでは、なんというんでしょうか、空気が読みにくいんですよね・・・(いや、そりゃ別の空間だから空気違うだろって話なんですけど笑)
教えている側からすると、その辺りの違和感は拭えません。「あれ?今の話自分の意図した通りに伝わっているのかな?」と思うことが、オンライン授業の方が多いですね。
パソコンやスマホの画面と、カメラの位置が違ったりするからかもしれません。画面上の生徒と目線が合わない(オンライン授業受ける時は、自分のデバイスの画面を見ますよね。カメラを意識して授業を受ける人はそうそういないので。)ことがひとつの大きな要因ではないかなあと感じます。
ただ、だからといって講義の内容が大きく変わるわけではないです。オンライン独特の違和感ですね。
これは、講師として感じますが、生徒側にもそれを感じている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
4. 嘘をつけてしまう
ここにきてすごい単語が出てきましたね。
デメリット1. でも書きましたが、オンライン授業では高校生・高卒生の「手元」が圧倒的に見えません。そうすると、圧倒的に嘘をつきやすくなります。
授業を聞いていなくても「聞いています」
板書をとっていなくても「ちゃんと書いてます」
問題を解いていなくても「解きました」
と言えてしまいます。
教室の同じ空間であれば、机の上に並んでいる様々な材料から本当かどうかある程度判断できるので、「しっかりやらないと」と強く言うことも、「やってないじゃん、ほら一緒に頑張ろうな」と促すこともできますが、オンライン授業では生徒の表情と返事の内容で判断するしかないので、ここが難しいです。
特に”勉強させられている”という感覚の生徒は、この甘さを知ってしまうと集中力も落ちて良くない結果につながってしまいます。
5. 画面の大きさの制約がある
オンライン授業では、自分の持っているデバイスの画面の大きさがどうしてもネックになってしまいます。
実際の教室なら、広い黒板を隅から隅まで見渡せて、「あれ?さっきなんて書いてあったっけ?」と思っても、視線を移せばすぐに目に入ったりしますが、オンライン授業では画面の中しか見渡せません。
じゃあ、これを広い黒板全体に向けたらいいんじゃないか?と思われる方もいらっしゃるでしょう。すると、書いている内容が小さすぎて読めないという事態が起こります。
「ズームしたり各自がすればいいじゃないか」と思ったそこのあなた、授業を聴きながら「ズームアウト・ズームイン」を繰り返して、講義の中身に集中できますか?いちいちその作業をするのはかなりのストレスになりますよ。
その辺りを考えて、各オンライン塾やオンライン予備校では、それでも最大限広い範囲を画面に収めようと調整しています。ですが限界があります。
(※実際の黒板よりも狭い範囲を撮影しているので、広い黒板なら板書が追いつく生徒も、オンライン授業の画面だと、すぐに板書を消されてノートが追いつかないという事件も発生します。→ですが、これはオンライン授業ならではの解決法がありますね。画面の写真を撮ってしまえば良いのです。スクリーンショットを効果的に使ってそのような事件の発生を防ぎましょう。でも多用はダメですよ、ノート書かなくなるから笑。あと、写真撮るときは講師の先生に許可を取ってからにしてくださいね。)
オンライン塾やオンライン予備校の選び方
もしこれからオンラインの塾や予備校をお探しの時は、これらのことをひとつの指標にしてそれぞれの塾・予備校を見比べてみると良いと思います。
これまでは見えなかった面が見えて、良い判断材料になりますよ。
特にデメリット面をどのようにフォローしているのかが結構大事かと思います。
オンライン授業は、効率よく学習する上ではとても役に立つツールだと思います。無駄な時間を省いて、それを如何に効率よく勉強に配分していくか。これは受験勉強を戦ってきた方なら誰もが痛感するテーマです。
オンライン形式は、その課題に対するひとつの答えだと感じています。
オンライン塾やオンライン予備校といった、大学受験・大学入試を準備する上で登場した新しくも強力なツールを、ぜひ使いこなして欲しいです。時間を効果的に使いましょう。
多くの高校生・高卒生の方、夢を持ち続ける方が目的を成就できることを願っています。
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